もはや待った無しの
「障害者雇用」を全力でサポート

ご挨拶

令和6年4月、厚生労働省より「障害者法定雇用率引上げと支援策の強化(https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf)」が施行されました。昨今、障害者雇用を取り巻く社会環境は強化の一途を辿っていますが、現実は「障害者雇用」の取り組みに躊躇している企業は多いのではないでしょうか。法定雇用率を達成しなければならないと理解しているものの雇い入れる自信がない。以前雇用したことがあるが、すぐに退職してしまった。職場や同僚と馴染めずトラブルになってしまった。そんな経験から多くの経営者が頭を悩ませているのが実情です。

実際に「とにかく雇わなければ」と半ば追い込まれた格好で無理な障害者雇用をした結果、障害者も企業も、お互いが不幸になってしまうという現実があります。その中でも多いのが、対応がそもそも間違っていて、障害者が働きやすい環境づくりを優先しすぎて現場に混乱を招いてしまうケースです。障害者への配慮が行き過ぎてしまい、健常者従業員は「やってられない」と思うようになり、職場や人間関係に不和が生まれることは珍しくありません。「合理的配慮」の線引きはとても難しいのです。そして、それがエスカレートすると、障害者従業員を管理する同僚や上司などの精神的負担も大きくなり、健常者従業員の方がうつ病で通院、休職・退職にまで至るケースもあります。事実、厚生労働省が把握している職場トラブルにおいては、必ずといっていいほど障害者差別・虐待事案として扱われています。つまり、障害者を雇用することによって新たな課題を抱えてしまうのです。そういったリスクを考慮した結果、「障害者を雇えないまま」となっている企業が数多く存在しているのです。

またその一方で、今後の「障害者雇用」は、法定雇用率の達成から、障害者のキャリア形成やスキルアップへとステージが進んでいきます。障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)に区分されていますが、現在働いている障害者の大半は精神障害者です。業務の切り出しや合理的配慮が比較的想定しやすい身体障害者や知的障害者に比べて、精神障害者とのかかわりは更に慎重な配慮を必要とするだけに、これからはさらに多くの問題と課題が現場に山積していくものと思われます。

様々な事情から多くの企業が思い悩み、あるいは一歩を踏み出せずにいる「障害者雇用」。私たち障害者雇用促進センターは、あらゆる分野の専門家が集い、これまで得た知見を利活用しながら適切な障害者雇用促進事業を行い、参加企業の皆さんと共有してまいります。そうした取り組みが「障害者雇用」の裾野を全国に広げることに繋がると確信しています。

障害者雇用の現状

世界各国で「正常化」「標準化」を意味するノーマライゼーション(normalization/英語)が障害者福祉の基本理念として定着し始め、日本でもこの考え方に基づいてさまざまな政策が進められています。障害の有無や年齢、社会的マイノリティーに関係なく、生活や権利が保証された環境を目指すという思想や潮流は、未来を創造する上で必要不可欠であることは間違いありません。しかし、日本では理想と現実のギャップが大きく、中でも「障害者雇用」に関しては解決すべき課題が山積しています。

国は、障害者雇用推進のため障害者雇用促進法をたびたび改正し、2024年4月から障害者の法定雇用率(以下、雇用率)を段階的に引き上げることが決定しました。雇用率は事業主区分によって異なりますが、2024年4月現在、民間企業の雇用率は2.5%。2026年7月には2.7%へ引き上げられます。なお、雇用率2.5%の適用対象は従業員の常用雇用40人以上の民間企業で、2026年7月からは常時雇用37.5人以上の企業へと広がります。

厚生労働省発表の『令和5年 障害者雇用状況の集計結果』によれば、民間企業に雇用されている障害者数は過去最高を記録し、実雇用率2.33%、雇用率達成企業は50.1%です。未達成企業のうち66.7%は不足数が0.5人~1人と、達成まであと一息という状況です。一方で、障害者雇用0人の企業が未達成の58.6%を占めており、「障害者雇用」における大きな課題となっています。障害者を雇用したことが無い企業にとって、ハードルは高いことでしょう。しかし、障害者雇用への努力を怠って雇用率未達成の状態が続けば、さまざまなリスクが生じかねません。

例えば、現在は常用雇用100人以上が対象ですが、未達成企業には不足数1人あたり月5万円の納付金支払い義務があります。また、雇用状況によってはハローワークから「障害者雇入れ計画作成命令」が発出されることもあります。それでも雇用が進まない場合は、労働局と厚生労働省による9カ月間にわたる特別指導が入り、なお改善されなければ厚生労働省のホームページに企業名が掲載されます。企業名の公表は会社にとって大きなイメージダウンにつながります。いずれにしても「障害者雇用」は民間企業にとって、もはや後回しにはできない喫緊の課題と言えます。

私たち有限責任事業組合(LLP)障害者雇用促進センターは、「障害者雇用」に関して「何から始めれば良いのかわからない」という事業者の皆さまを支えるため、2024年11月に発足しました。「障害者雇用」への一歩を踏み出し、全国の事業者の皆さまが日本社会のノーマライゼーションを支える存在になるよう、全力でサポートいたします。

法人説明

私たち有限責任事業組合(以下、LLP)障害者雇用促進センター(以下、促進センター)は、厚生労働大臣の認可を受けた団体です。このLLPに加入することで、組合員それぞれの雇用率を通算することができます。
つまり、複数の事業者が共同で障害者雇用の機会を確保する事業協同組合算定特例※を活用した、新たなスキームです。

※事業協同組合算定特例とは

中小企業が事業協同組合等を活用して共同事業を行い、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の認可を受けたものについて、その事業協同組合等とその組合員である中小企業(特定事業主)における実雇用率を通算することができる制度です。

個々の中小企業では障害者雇用を進めるのに十分な仕事量の確保が困難な場合でも、事業協同組合等を活用し、複数の中小企業が共同して障害者の雇用機会を確保することができます。

業種業態、組織規模によって、障害者が担当する業務の切り出しが〝しやすい〟〝しにくい〟という特徴があります。そこで〝しやすい〟事業者が〝しにくい〟事業者の分まで障害者を多く雇用し、加入事業者における障害者の総雇用数を通算することで、ともに雇用率を達成するのがLLPの仕組みです。

もちろん雇用率の達成にとどまらず、私たちは「障害者雇用」のすそ野を広げることを目的としています。そのために、雇用数0の事業者が「障害者雇用」に取り組めるよう、専門的知識や実践的なノウハウをさまざまな形で提供します。 促進センターの本部は東京に置き、東京・大阪を中心に全国へネットワークを広げていきます。